埼玉大学推薦入試小論文 模範解答 2017 教養学部

埼玉大学推薦入試小論文 模範解答
2017 教養学部
問1
われわれの「文明」はテロの根にある地球的な不平等や抑圧の体系の上に成り立っているため、テロを「文明」の外にある問題ではなく、「文明」内部の課題として受けとめるべきだと考えたから。(89字)
【別解】われわれの「文明」はテロの根にある地球的な不平等や抑圧の体系の上に成り立っているため、テロは「文明」の外部にある問題ではなく、われわれ自身の内にある問題だと考えているから。(86字)
問2
米国は途上国において「自由、人権、民主主義」を尊重しておらず、アメリカ式の「グローバル・スタンダード」が世界中で貧富の格差を増大し、「他者と違う文化をもつ自由」を侵蝕してきたとみなしているから。(97字)
【別解】米国は「自由、人権、民主主義」を自国内では尊重しているものの、途上国ではそれを追求する人々を黙殺しており、米国式の「グローバル・スタンダード」によって「他者と違う文化をもつ自由」を侵蝕しているから。(99字)
問3
グローバル化には功罪の両面がある。市場経済のグローバル化によって、それぞれの国や地域が比較優位にある産業に従事し、比較劣位にある分野を輸入によって賄うことにより、効率的な国際分業が可能になった。また、人件費等のコストが低い地域で生産を行なったり、規模の経済によって低価格を実現している商品がグローバルに流通することで、世界中で安価な商品を購入できるようになった。こうしたグローバルな効率化によって、世界経済全体が拡大し、いわゆる絶対的貧困層の割合はここ20年あまりで3分の1以下に減少したと聞く。これらは、グローバル化の功にあたるだろう。
しかし、他方で、国際分業は自国が比較劣位にある産業の空洞化を引き起こし、競争力のあるグローバル企業が既存のローカル産業を駆逐してしまうという負の面がある。日本国内でも、大型ショッピングセンターの参入によって地元商店街が淘汰され「シャッター街」化してしまう事例が報道されていたけれども、それと同様の構図が世界的に展開されている。このように、一部の競争力のある大企業や資本が世界中で一人勝ちしてしまうことにより、富の集積はいっそう進み、筆者が指摘する通り、世界的な貧富の差が拡大した。
グローバル化の負の側面は、これにとどまらない。国際競争に晒されることを不可避にするグローバル化は、筆者が批判しているように、「他者と違う文化をもつ自由」を侵蝕することになる。というのは、グローバルな取引を可能にするために設定される共通の枠組みは、グローバリゼーションのいわば上流にいるアメリカなどの先進国が主導するため、自国の管轄であるはずの金融制度などもアメリカ式への変更を求められるからである。その限りで、グローバル化とは言うもののその方向は非対称的である。したがって、変更を余儀なくされる側からすれば、結局のところグローバル化はアメリカ化を迫られる過程であると言える。
グローバル化におけるこの不公平性は、文化や制度だけでなく環境問題に関しても見いだすことができる。環境負荷の高い活動を自国内で行うことを避けて他国に押し付けたり、豊かな国で生じた放射性廃棄物の処分場を貧しい国に求めたりと、投資や資金援助と引き換えに、豊かな国が貧しい国に環境汚染を肩代わりさせる構図がある。
こうした不公平性を解消し、グローバル化にあって多様性を尊重することが、われわれの文明の課題であると考える。(1000字)
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