2018年度 群馬県立女子大学 文学部 美学美術史学科 一般選抜 前期日程試験 総合問題 模範解答
問１
ⓐ格好 ⓑ 憂 ⓒ逮捕 ⓓ挫折 ⓔ境遇
問２
㋐とら ㋑そがい ㋒はたん ㋓あまね ㋔るふ
問３（150 字以内）
著者によれば、「自分って、なに？」という問いかけに対して、デューラーは自分をキリストに擬した自画像を制作することで回答した。デューラーの生きたルネサンスの時代では、神による万物の創造と芸術家による創作活動が類比されていた。そこで、彼は自分を神に擬すことで、創造者としてのアイデンティティーを強調した。（150 字）
問４（400 字以内）
デューラーの作品もゴーギャンの作品も、自分が作り上げたものではない既存の芸術家観に自らのイメージを適合させたものになっている。その限りで、自画像において表現される画家のアイデンティティーは画家自身の主体性の反映ではない。また、そもそも自画像は、画家が鏡で自分の姿を見て制作するものである。そのとき、たしかに画家は見る主体として特権的な立場にいることになる。しかし同時に、この自己中心性は、鏡という自己の外部を通してしか自分を認識できない以上、破綻の瀬戸際にもある。ここで、画家は自分と鏡に映った自分の二者に分裂する。さらに、画家が鏡の自分を作品にすると、自分の模像が社会に流布することになる。それで、模像が独り歩きするようになり、模像によって画家自身が解釈される。こうした社会では、オリジナルの自分は失われている。ウォーホルの『影』は、このように自画像にはらまれた二重性や分裂を自覚的に表現している。（400 字）
問５（600 字以内）
問題文から読み取れることは、自画像が自分自身の表現であるというよりも、むしろ社会における自分のイメージを反映したものであるということである。たしかに、自画像はその主題が画家自身であるので、自己表現ではあるものの、そこで表現されているものは、画家が生きる時代の芸術家像や、世間で自分がどう思われているかというイメージなど、社会との繋がりから切り離すことはできない。
そうである以上、自画像を通して私たちが見ているのは、画家自身の姿である以上に、社会そのものの姿であると私は考える。つまり、自画像は社会や他者との関係を反映する良き鏡になっていると思われる。じっさい、デューラーであれ、ゴーギャンであれ、ウォーホルであれ、それぞれの自画像は当時の社会や芸術家たちのイメージを反映していた。そうだとすれば、さまざまな時代がどのようなものだったのか、自画像を通して知ることができるだろう。だから私は、社会の時代的様相を伝えるメッセージとして自画像を捉える可能性を強調したい。たしかに、自画像のメッセージを既知の時代背景から捉えなおすことは、自画像を解釈するさいに必要だろう。しかし反対に、自画像から当時の社会を新たに捉えることも可能ではないだろうか。時代に関する先行了解のもと自画像を眺めつつも、自画像からこの先行了解を明確にしたり、先行了解が訂正を受けたりする可能性があるだろう。
（585 字 400 字詰め原稿用紙30 行に収まることを確認済み）
群馬県立女子大学 文学部 美学美術史学科 一般選抜 前期日程試験 総合問題
群馬県立女子大学 文学部 美学美術史学科 一般選抜 後期日程試験 小論文
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Contents
「小論文対策は独学では無理です」
どうも皆様が勘違いをなさっているようなので、はっきりと申し上げておきます。
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